求人サイトに頼らない!SNS×自社サイトで応募者続出の秘密
【連載第5回|企業のSNS活用で広がる無限の可能性|SNSマーケティングの成功事例】
人材不足が深刻化する今、企業にとって採用活動の重要性は高まるばかりです。その中で最近飛躍が目覚ましいのは、SNSでのコミュニケーションを通して行われる「SNS採用」です。
「●●会社 人事部」「●●会社 採用担当」といった企業の採用アカウントを目にしたことがある方も多いことでしょう。
実際、TikTokで社員のおじさんたちが踊る動画がバズり、急激に応募者が増えたタクシー会社 など、SNS採用に成功する企業が増えてきている印象です。
採用活動といえば、自社サイトの採用ページや求人サイトに掲載して応募者を募るという方法が一般的でしたが、なぜ今、SNS採用が結果を出しているのか。応募者が続出する理由や、SNS採用を行う上で気をつけたいポイントをお伝えしていきます。
株式会社吉和の森
代表取締役 森 和吉(もり・かずよし)
https://yoshikazunomori.com/
ウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー
日本トレンドリサーチ調査によるデジタル・マーケティング会社サービス満足度、料金満足度、サポート満足度においてNo.1を受賞(2022年1月)。
「キャリア公式サイト」「広告サイト」など、アライアンスを中心とした50以上の月額公式サイト、100万人以上が利用するサイト、100以上のコンテンツの立ち上げ、集客化に成功。1日の売り上げが1億以上のソーシャルゲーム、カジュアルゲームの制作に携わるなど、さまざまな業態・業種にデジタル・マーケティングを取り入れ、企業に追い風を起こし続けている。
・企業の採用担当者
・SNSでの採用活動がうまくいってない担当者
目次
やり方次第で採用数倍増!?企業と応募者の距離をグッと近づけるSNS採用
いまやX、Instagram、Facebook、TikTokなど多くのプラットフォームがSNS採用に活用されていますが、特に活発なのは「X」なのではないかと感じています。
前述のようにXでは、「採用担当者」や「人事担当者」であることを、ユーザー名やプロフィールに全面に出して運用しているアカウントも多いですし、「#新卒採用」「#就活生とつながりたい」といったハッシュタグで応募者とのコミュニケーションを図る、「#人事とつながりたい」などのハッシュタグで採用活動をしている他企業と横のつながりをつくる動きも盛んです。業界もさまざまで、ITエンジニアやWebデザイナーといったWeb関連の業界はもちろん、不動産業、コンサル業、サービス業、飲食業などでも、積極的にSNS採用を行っている企業が多くあります。
また一方で、「(ユーザー名)@25年卒」「(ユーザー名)@転職活動中」のように、自身が就活中であることをユーザー名やプロフィールに書いている方もたくさんいます。
「採用したい側」と「就職したい側」がつながりやすい環境がすでに出来上がっているのが、Xの大きな特徴と言えるでしょう。
就活者が欲しい情報の投稿頻度を挙げよう
とはいえ、XでSNS採用を行なっているすべての企業が成功しているわけではありません。では、成功して応募者を獲得している企業はどのような運用をしているのか。
結論から言いますと、そうした企業は、「就活者が欲しい情報」を「頻繁に投稿」しています。
もしみなさんが就活中で気になる企業がある場合、まずその会社のホームページをチェックするのではないでしょうか。しかし、ホームページでは大枠の情報は手に入っても、内容の更新頻度がそこまで高くないため、最新の情報があまり得られず「すぐ応募しよう」とまではいきません。会社説明会やOB・OG訪問に行けば、もっとリアルで詳しい話が聞けるかもしれないですが、何度も機会があるわけではないですよね。
「もっとこの会社の雰囲気が知りたいのに……」
「どんな人が働いているんだろう?」
「数社で応募を迷っているけれど、決め手がないんだよな……」
そうした思いを抱えた就活者がその企業のSNSを開いたとき、欲しかった情報が投稿されていたら……?他の候補企業よりも情報が充実していたら?当然、就活者の心はぐっと動きます。
逆に、情報量が少なかったり、昔の投稿のまま時が止まっていたりすれば、その企業への興味・関心は途切れてしまい、他の企業へ目移りしてしまうかもしれません。
待つだけではなく働きかけもできる
また、SNS採用において企業ができるのは、応募者を「待つ」ことだけではありません。例えば、同業他社の採用アカウントをフォローしている就活者は、自社にも興味を持ってもらえる可能性は十分にあります。そうした人たちを積極的にフォローして自社を知ってもらいアプローチする、という手法もあるのです。
しかしその場合もやはり、同業他社に勝つためには、自社のアカウントの発信内容や更新頻度を充実させておく必要があります。
今、うまくいってなければ現状の見直しを
もし今、SNS採用がうまくいっていないと感じていたら、まずは投稿している情報や頻度を見直してみてください。そして就活者のフォロワーを増やし、ときに応募して欲しい人をフォローする攻めの姿勢もとりながら、自社の認知を広げていくことがSNS採用のはじめの1歩となります。
また普段はその会社に出向かないと会話できないような、人事や採用の担当者と気軽にコミュニケーションが取れるのもSNS採用の魅力です。適度に「いいね!」の送りあいやコメントでのやりとりといった交流で、フォロワーとの距離を縮めていきましょう。フォロワーの反応を見ながら、投稿内容や発信時刻などを微調整していくことも効果的です。
「この会社、なんか好きだな」「この採用担当者から話を聞いてみたい!」
そんなふうに会社や採用担当者のファンになってもらえたら、応募につながる可能性も一気に高まります。
もちろんこれは他のSNSプラットフォームでも同じことが言えます。例えば、TikTokなら前述のタクシー会社のようなインパクトのある動画で「面白いことをやっている会社だな」という好印象を与えるのもひとつですし、Instagramならリール動画やおしゃれな写真で社内の雰囲気を伝えるのも効果的です。プラットフォームにマッチしたアプローチ方法を試行錯誤してみましょう。
うっかりやりがち!SNS採用で気をつけたい5つのポイント
求人サイトは掲載にまとまった料金がかかるケースも多いですが、SNS採用は何と言ってもコストをかけずに始められるのが大きな魅力です。その分、発信内容の検討や定期的な更新などに手間や時間はかかりますが、これだけSNSが浸透しユーザーが多い今、やらない手はありません。
ですが、注意点もあります。
SNS採用の効果をより高めるために気をつけたいポイントを5つ紹介しましょう。
①ルールを決める
「●●会社の採用アカウント」と看板を掲げている以上、個人ではなく企業公式として責任ある発信をする必要があります。例えば、発信する際の文体や口調はどうするか。確定表現は避ける、同業他社についてのコメントは控えるなど、社内で事前に運用ルールを決めておくことは非常に大切です。特に複数人で運用する場合は、内容にブレが生まれがちなのでルールの共有を徹底しましょう。
②可能なら顔出しをする
SNSは顔を出さなくても運用できますが、やはり発信する相手の顔が見えた方が安心や信頼を抱くのが人間の心理です。特に、採用担当や人事の方は、最終的にオフラインで応募者と顔を合わせる方です。「これから会うかもしれない人」が見えていた方が、応募者の緊張が和らぎ、応募のハードルも低くなります。とはいえ、どうしても無理というケースもあると思いますので、その場合は企業のロゴなどでもよいと思います。
③コミュニケーション手段を決めておく
SNS採用をしていると就活者から質問やコメントをもらうシーンもあると思います。その際の返信は、SNSのDMで行うか、もしくは企業のメールで行うかといった対応手段も事前に決めておいた方がスムーズです。企業にとっては今後のリスト化を考えるとメールに誘導したいところですが、それには「メールアドレスや本名を教える」という就活者の手間を挟みます。少し聞きたいだけなのにいきなり個人情報を出すのは抵抗を感じる方もいるかもしれませんし、手間や面倒を感じたら、いくら興味があっても離脱される場合があります。「自分だったらどんな方法が気軽にできるか?」を考えてみましょう。
例えば、はじめにDMでやりとりを行い、関係性の深度を見ながらメールに切り替えると自然な流れをつくることができます。いずれにしても、こうした「コミュニケーション手段」は事前に決めておくと良いでしょう。
④フォローしていきなりDMはNG
DMは気軽にやりとりしやすい連絡手段ですが、フォローしていきなりセミナーや説明会のご案内などを送り付けるのはNGです。みなさんもご経験があると思いますが、せっかく興味を持ってフォローした相手から、いきなりセールスや勧誘のDMが来るとげんなりしますよね。これも、最初はいいね!やコメントのやり取りから始まり、ある程度くわしい話ができそうだと感じたら、初めてDMを送る。そういった段階を踏みながら、進めることが大切です。
⑤リンク切れに注意!
前述したように就活者の多くは「ホームページの情報では足りず、SNSヘ移動する」という動きをしています。しかし、ホームページ内にSNSのアイコンはあるもののクリックするとリンク切れで開けないという企業が意外と多いのです。中には自分で検索してくれる人もいるかもしれませんが、ほとんどの人はここで離脱してしまうと考えてください。これは非常にもったいないこと。必ずホームページや採用サイトなど、見られる部分は定期的に必ずチェックしましょう。
ちなみに、SNS採用の終着点は、SNSで背中を押された就活者が再び自社ホームページを訪れて「応募」のアクションをすることです。そのため、ホームページの整備も忘れてはなりません。「応募」や「問い合わせ」「資料請求」のボタンは正常に動作するでしょうか。こちらのチェックも怠らず行いたいものです。
細く長くが継続のコツ!やれば期待大!自社の資産にもなるSNS採用
採用活動では、まず自社に興味を持ってくれる就活者を集めることが先決です。そのためには、求人サイトや採用ページ、ポータルサイトなど自社のメディアを持つことが重要となりますが、それには多くの場合、コストや制作のための工数もかかります。その中で、無料で、かつ、すぐに自社メディアとして運用できるSNSは最も手っ取り早く、効率がよい方法です。
採用担当チームの雰囲気、実際に働いている人の姿、会社で行ったイベント……などなど、自社への応募を考えている人たちが「知りたい」、「気になる」と思っていそうな情報を、意識して発信していきましょう。その際、より良く見せようと嘘や脚色をするのではなく、「ありのままの様子を伝える」ことが大切です。
最初は思うように反応がもらえずくじけそうになるかもしれませんが、SNSは継続が何よりも力となります。細くとも更新を途絶えさせず続けていけば、結果に結びつく可能性は高まります。
また、応募を考える人は過去の投稿も遡ってチェックする傾向があります。つまり、今コツコツ頑張っていることは今年に結果が出なくても、来年、再来年にじわじわと活きてくることも十分あるのです。
人材不足の時代だからこそ、「どんな人を雇用するか」「誰と働くか」は企業にとっても、そこに働く社員にとっても重要なキーワードとなります。御社が求める素晴らしい人材に出会うために、ぜひSNS採用に取り組んでみてください。
もっと学びたい方へ|関連書籍
著者:森 和吉
出版社:ぱる出版
発売日:2022年12月22日
価格:¥1,650(税込)
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編集者情報
株式会社デジタル・ナレッジ 教育流通事業部 事業部長 中田 康宏 | |
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