株式投資の銘柄選びに役立つ「決算書の読み方」とは? 初心者向けにわかりやすく解説
株式投資を始めるとき、「どの株式を買うべきか?」で悩み、前に進めない方も多いようです。そんな時にオススメなのが、企業が公開している「決算書」をチェックすることです。「決算書」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、株式投資に役立つ決算書の読み方にはいくつかのポイントがあります。
今回は株式投資のプロが、優良企業を見分ける決算書の読み方を初心者の方にもわかりやすく解説します。
・株式投資初心者で優良企業の探し方を知りたい人
・決算書の読み方を知りたい人
・株式投資のコツを学びたい人
目次
決算書とは?決算書からわかること
決算書とは、簡単に言うと企業の成績表、健康診断表です。
人が1年に1回健康診断を受けるように、企業は1年に1回決算をします。近年では3ヶ月に1度の四半期決算も一般的になっていて、こちらは「決算短信」と呼ばれます。
決算書からわかることは、企業の過去、現在、未来のお金に対する体力、実力です。
売上と利益が増加していれば、体力も実力もある企業と言えます。投資家にとっては魅力的な企業ですね。つい売上に目がいってしまうのですが、売上が上がっていても赤字の場合もあるので、利益も同時に見ることが必要です。決算書では売上と利益を同時に確認することができます。
売上と利益の組み合わせには4つのパターンがあります。
売上という収益から費用を引いて、マイナスなら損失、プラスなら利益といいます。損益という言葉は、損失利益を省略したものです。損失なのか利益なのかは、後に説明する損益計算書を見るとわかります。
決算書の場合は昨年比も併せて見ることができるので、企業の勢いもわかります。例えば、売上が20%ずつ増えていた会社が10%の増加になれば、見劣りしていると見なされます。つまり、成長が鈍化したということです。
初心者なら、右上の「増収増益」の企業を探しましょう。決算書を見慣れていないと売上が増えていることだけに目が行きがちですが、株式投資では伸び率を見ることがポイントとなります。
まずは押さえておきたい財務三表
一般的に決算書とは「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の財務三表のことを指します。それ以外にも「株主資本変動計算書」「個別注記表」などもありますが、まずは財務三表を押さえておけば大丈夫です。
貸借対照表
企業の財政状態を一覧にしたものです。バランスシートとも呼ばれ、「B/S(Balance Sheet)」と表記されることもあります。
例を見ると左右の合計は同じ数字になっています。左右バランスが取れているので「バランスシート」と呼ばれているのです。
資産=負債+純資産
損益計算書
企業の1年間の利益を表します。1年間の収益と費用を記載して利益を算出します。「P/L(Profit and Loss Statement)」と表記されます。
損益計算書には、5つの利益が段階を追って計算され、表示されています。
- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
「本業の利益」とは本来の事業で稼いだ利益です。借入金の利息などは、本業以外の費用にあたります。
本業以外であっても、通常にかかる費用を差し引くことで企業の姿がわかるため、「通常かかる費用を差し引いた利益」という意味で、「経常利益」と呼びます。
また、本社を売却した場合や、長期間保有の株式・証券を売却した場合の損益などは、通常ではない損益になり「特別利益」や「特別損失」になります。この特別の場合を加減して、さらに、納税した後、企業に残る最終的な利益を「当期利益(当期純利益)」といいます。純利益という場合は、差し引きの意味合いが強くなり、最終的な利益の場合に、純利益を使うことが習慣になってます。
💡 「貸借対照表」と「損益計算書」は会社四季報に簡潔に掲載されています。
キャッシュフロー計算書
文字通りお金(キャッシュ)の流れ(フロー)のことです。例えば、1年間など会計期間に区切ってキャッシュの動きを示します。「C/F(Cash Flow Statemen)」と表記されます。
企業にお金が入ってくることをキャッシュイン、お金が出ていくことをキャッシュアウトというため、キャッシュフローは次のような計算式になります。
資金不足にならないかを把握できるため、資金繰りに必要な計算書です。
決算書で注目すべき3つのポイント
決算書にはたくさんの情報が記載されていますが、株式投資では3つのポイントに注目するとよいでしょう。
収益性 | 企業の稼ぐ力。他社に比べて、収益力が高ければ魅力的な会社と言える。 |
安全性 | 主に財務の安全度合い。資金切れで、最悪の場合、倒産しないかという視点。 |
成長性 | 将来にわたって成長を続けていく可能性が高いか、という視点。 |
株式投資に必要な4つの指標
具体的に「収益性」「安全性」「成長性」を調べるにはどうすればよいでしょうか?株式投資初心者の方がおさえておくべき4つの指標を解説します。
EPS:1株当たり純利益
1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)は、企業の成長性分析の指標のひとつです。1株に対して最終的な当期利益(当期純利益)がどれくらいあるかを表します。
1株当たり純資産数値が大きければ、企業の収益性が高く、小さければ収益性が低いことを示します。
EPSの推移を見ることで、企業の収益が好調であったかがわかり、今後の企業の成長見込みを判断する材料になります。
PER:株価収益率
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)は、おもに株価が相対的に割安か割高かを判断する株価指標のひとつです。1株当たり純利益(EPS)に対して、今の株価が何倍かで測られ、倍率が低いほど株価が割安で、高いほど割高という目安になります。
一般的には、PERの目安は、平均15倍といわれていますが、業界・業種によって、基準の数値は異なります。過去の実績値の平均を比較し、推移を見るのが有用です。
PBR:株価純資産倍率
株価純資産倍率(PBR:Price Book-value Ratio)は簿価を基準に株価が割安かどうかを判断する株価指標です。簿価(会計書類に記載されている資産や負債の価格)に対して株価が何倍かで測られ、倍率が低いほど割安で、高いほど割高とされます。
一般的には、簿価の水準である1倍を下回ると割安とされています。
BPS:1株当たり純資産
1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)は会社の純資産を、発行済株式数で割った数字です。BPSが高いほど、企業の安定性が高いとされます。会社四季報では、過去2年分が記載されています。
5.まとめ
もっと学びたい方へ
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編集者情報
株式会社デジタル・ナレッジ 教育流通事業部 事業部長 中田 康宏 | |
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