SDGsとは?小学生向けに意味や課題、今できる取り組みをわかりやすく解説
「SDGsって何?」子どもに聞かれて言葉につまってしまったお父さん、お母さんはいませんか?
今、子どもたちは小学校や学童、塾などでSDGsという言葉を耳にする機会が増えてきています。急速に広まってきたSDGsについて、まず親がしっかりと知識を得て子どもに伝える必要性が高まっています。
「SDGsのことをもっと詳しく知りたい」「宿題や受験対策にSDGsを調べたい」というお子さんに伝えるために、このページではSDGsをわかりやすく解説していきます。
「子どもと一緒に楽しくSDGsの話をしたい」「小さい子どもでも身近に感じられるようわかりやすくSDGsを説明してあげたい」というお父さん、お母さん
目次
SDGsって何?
SDGsは「エスディージーズ」と読みます。
英語の「Sustainable Development Goals(サステイナブル ディベロップメント ゴールズ)」から生まれた言葉で、3つの頭文字と最後の”s”を使って「SDGs」です。
SDGsは日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。
持続可能な開発目標、といわれてもちょっとわかりにくいですよね。
「持続可能な」というのは、「今だけでなく、ずっと続けていくことができる」ということ。
“自然環境や資源を大切に守りながら利用していく”という意味合いも込められています。
「開発」というのは、「今よりよくする」ということで、発展とか進化という意味も持っています。
これからもずっと守り、続けていくべき私たちの発展とは?
じつは地球上には、毎日の食事にも困るような貧しい人々がたくさんいたり、人間が捨てるプラスチックごみで海が汚され生き物が死んでしまったり、夏の暑さがどんどん苛酷になっていったりと大変な問題がたくさん起こっています。
こうした問題をそのままにしておくと、私たち人間はこの地球で暮らし続けることができなくなるかもしれません。
そんな危機感から、世界中のさまざまな立場の人々が話し合い、なにが問題かを整理し、解決方法を考え、2030年までにクリアすべき具体的なゴールをまとめました。
それが「持続可能な開発目標」、SDGsです。
つまりSDGsは、
“地球上の人が誰ひとり取り残されることなく
これからも幸せに暮らし続けていくために
みんなでこの目標を達成するぞ!“
という強い強い決意表明だと言えるでしょう。
なぜ今SDGsが必要なのか
地球上にはたくさんの問題が山積みになっているとお話ししましたが、具体的にはどんな問題があるのでしょうか。
たとえば、地球温暖化。気温上昇による気候変動で、今後もうれつな台風や大雨、竜巻などの自然災害がひんぱんに起きることが予想されています。
このままでは人間をふくむ地球上のすべての動植物が命の危険にさらされてしまいます。
▼東京の最高気温が44℃ !? 「2100年の天気予報」を見てみよう。
(引用:気象キャスターネットワーク|【東京で44度!?】2100年の天気予報)
気候変動以外にも、
数十億人もの人が毎日の食べものにも困るほどの貧しい暮らしを強いられている「貧困」や「飢餓」、
ごみが増え海や空気が汚れる「環境汚染」、
子どもが学校に通えず働かされている「児童労働」や「教育格差」など、
人類はこれまでになかったような数多くの課題に直面しているのです。
日本は平和だから無関係、ではありません。
グローバル化した地球ではあらゆる問題がつながっていて、遠い国でのできごとが私たちの生活に即、影響を及ぼします。
すべての問題に対し、ひとりひとりが自分事として向き合うことが大切です。
あなたは、どんな未来が来てほしいですか?
その未来はどうすれば実現できるでしょうか?
SDGsはその道しるべとして17の目標(ゴール)を示しています。
≫もっと詳しく!SDGsと「2030アジェンダ」
2015年9月、ニューヨークの国連総会で、人類が2030年までに成し遂げるべき行動指針「2030アジェンダ」が193加盟国の全会一致で採択されました。
この2030アジェンダの中核を担うのが、17の持続可能な開発目標『SDGs』です。
●2030アジェンダの目次●
- 前文
- 宣言
- 持続可能な開発目標(SDGs)とターゲット
- 実施手段とグローバル・パートナーシップ
- フォローアップとレビュー
2030アジェンダの「前文」はこんなふうに始まります。
この計画(アジェンダ)は、人間と地球、そして 繁栄のための行動計画です。
これは、より大きな自由と、普遍的な平和を追い求めるものでもあります。わたしたちは、持続可能な世界を築くためには、極度の貧困をふくめ、あらゆる形態、あらゆる側面の貧困をなくすことが最大の課題であると、みとめます。
すべての国と人びとが協力しあってこの計画を実行します。
わたしたちは、人びとを貧困や欠乏からときはなち、地球を守ることを決意します。
わたしたちは、持続可能で強くしなやかな世界に移行するために、今すぐ大胆で変化をもたらす行動を起こすことを決意します。
わたしたちはこの旅をはじめるにあたり、だれひとり取り残さないことを誓います。
(以下略)
このように前文では「我々の世界を変革する」という副題に加え、SDGsで重要な基本コンセプトである「だれひとり取り残さない」が明記されています。
SDGsは、国際社会が2030年までに、先進国から途上国まですべての人が普遍的に取り組む世界共通の物差しであり、貧困の撲滅や気候変動等の幅広い課題を解決し、持続可能な社会を実現するための重要な指針とされています。 すべての国及びすべてのステークホルダーは協同的なパートナーシップのもと、この計画を実施することが求められています。
このアジェンダにかかげた高い目標のすべてを実現することができれば、すべての人の生活が大きく改善され、より良い世界へと変わっていくでしょう。
正式名称「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の日本語訳版では36ページにわたり、前文、宣言、持続可能な開発目標(SDGs:17ゴール、169ターゲット)、実施手段、フォローアップなどが述べられています。詳しくは外務省の日本語仮訳版をご覧ください。
≫我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ
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SDGsの17の目標(ゴール)とは?
SDGsは、人類がこの地球で暮らし続けていくために2030年までに達成すべき目標として17のゴールを掲げています。
こんなイラストを見たことはありますか?
これはSDGsの17のゴールを表しています。
ここでは、17のゴールの中から日本に暮らす私たちにとっても身近な6つのゴールをピックアップしてご紹介していきたいと思います。SDGsの17のゴールについてお子さんに説明するときのヒントにしてみてください。
目標1 「貧困をなくそう」
SDGsの最大の目標、それは「世界中のあらゆる形の貧困を終わらせること」です。生きていくために必要な食べ物すら手に入らない“極度の貧困”、これをまずなくすこと。そして食料を得るだけでなく、仕事や住むところを見つけたり、病院に行ったり、自分の意見を自由に言ったりできるようにすることも、この目標には含まれています。じつは日本でも子どもの約7人に1人が貧困状態(2018年調査)。意外と身近な問題です。
目標4 「質の高い教育をみんなに」
15歳以上で読み書きができない人は世界で7億人以上、そのうち3人に2人が女性と言われています。原因は紛争、貧困、女性や少数民族への差別など。学校や先生が足りず教育を行うことができない地域も少なくありません。だれもが平等に、質の高い教育を受けられるようにすることが求められています。
目標5 「ジェンダー平等を実現しよう」
女性に対する暴力、少女に強いられる児童婚など、世界中に多く残る女性差別問題。日本は関係ない?いいえ、日本のジェンダーギャップ指数は先進国で最低レベル(2021年は156カ国中120位)。国会議員や企業の管理職に女性が少ないこと等が指摘されています。これは女性だけの問題ではありません。もし男女格差が完全に解消されれば世界経済は26%拡大するという研究結果もあります。経済成長にはジェンダー平等が必要不可欠なのです。
目標6 「安全な水とトイレを世界中に」
きれいな飲み水を利用できない人は世界で約22億人。トイレがなく、道ばたや草むらで用を足す人も6億7300万人います。そのせいで汚れた水を飲み、お腹を壊して亡くなる子供が世界にはたくさんいるのです。すべての人が安全な水とトイレを得られるようにすることが目標です。今後、人口増加や気候変動でますます水不足が悪化すると言われています。安全な水をどう確保するかはまさに地球全体の課題なのです。
目標12 「つくる責任つかう責任」
ものをつくったり使ったりする時に資源をむだにしないようにすること、排出される有害物質が自然をよごさないように管理することなどを目指しています。たとえば、私たちが毎日着ている洋服。流行りの服を安く手に入れられるファストファッションの普及で衣類の大量生産が当たり前となり、製造過程で大量の水が消費されると共にCO2が大量に排出されています。大量に作られた衣類はまた、早いサイクルで大量に廃棄され、焼却や埋め立て、海洋汚染といった環境問題を引き起こしています。衣類だけでなく、大量の食料廃棄も大きな問題です。
目標14 「海の豊かさを守ろう」
人間が廃棄するごみや有害物質が海の深刻な汚染を引き起こしています。代表的なものがプラスチック。ポイ捨てされたプラスチックごみは毎年大量に海に流れ込み、2050年には魚の量を上回るという衝撃的な予測も。海の生き物が餌とまちがってプラスチックを食べ死んでしまったり、小さく砕けた「マイクロプラスチック」を摂取した魚が食物連鎖を通じて有害化学物質を体内にため込むことで、それを食べる人間への影響も懸念されています。
私たちにもできるSDGsの取り組みって何だろう?
SDGsの取り組みと聞くとむずかしくてハードルが高そうに感じますが、じつは家庭や学校ですぐにできる内容もたくさんあります。ここでは、身近な例をご紹介します。家族で話し合って、早速今日から始めてみましょう!
▼給食や家のご飯を残さず食べる
食べ残しを減らすことは食品廃棄の削減につながり、原材料の生産や調理、廃棄にかかるエネルギーのむだづかいをカットできます。さらに、食品ロス削減は世界の飢餓を減らすことにもつながります。日本を含む先進国では食べられる食品が大量に廃棄されている一方、その分世界の貧しい人に食料が届かなくなり、8億人以上が飢餓に苦しんでいるからです。必要な分だけ買って食べ残しをしないこと、スーパーなどで賞味期限間近のもを積極的に買うこともすぐにできるSDGsへの取り組みです。
目標12「つくる責任つかう責任」
目標2「飢餓をゼロに」
▼電気やテレビをこまめに消す
使っていない部屋の電気をつけっぱなしにしていませんか?
私たちは普段、当たり前のように電気を使っていますが、世界には電気が使えない地域もたくさんあります。しかも日本のエネルギー自給率はわずか11.8%(2018年)。海外からの輸入に頼っているとても不安定な状態なんです。だからこそ、エネルギーのむだづかいは禁物。電気やテレビをこまめに消したり、冷暖房の温度設定をひかえめにするほか、徒歩や自転車で移動できる場所へは車を使わないなど、身近な取り組みに家族でチャレンジしてみましょう。
目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
▼手洗い・うがいをしっかりする
手洗い・うがいがSDGsにどのような関係があるのでしょうか?
SDGsには「すべての人に健康と福祉を」というゴールがあります。手洗い・うがいをしっかりすること、睡眠をしっかりとることで自分が病気になることを防ぐと同時に、まわりの人に移してしまうのを予防することができます。ひとりひとりの取り組みが、新型コロナウイルスのような感染症の拡大を防ぐことにもつながりますね。
目標3「すべての人に健康と福祉を」
▼ものを大切にする・ごみのポイ捨てをしない
まだ使える文房具やおもちゃを簡単に捨てていませんか?
ものを捨てることは、それを作るために使った資源をむだにすること。捨てたものを燃やしたり埋めたりするのにもエネルギーがかかってしまいます。買うときに本当に必要かよく考えること、使わなくなったおもちゃや衣類はリサイクルにまわすことも有効です。ペットボトルではなく水筒を持ち歩いたり、レジ袋やプラスチック容器をポイ捨てしないことも大切ですね。
目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
目標12「つくる責任つかう責任」
目標14「海の豊かさを守ろう」
▼地域の防災活動に参加する
最近、地震や台風が多いですよね。大きな災害が起こったとき、どこに避難すればいいか家族で話し合っていますか?SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」には、大規模な災害が起きても対処できるという意味合いが含まれています。地域のハザードマップをチェックして避難場所や経路を確認したり、地元の防災訓練や清掃活動に参加したりすることも立派なSDGsへの取り組みです。飲料水や食料品を蓄えておくことも大切ですね。
目標11「住み続けられるまちづくりを」
▼SDGsに関心を持ち、知り、行動に移す
いちばん大切な取り組み、それは年齢・性別関係なく、ひとりひとりがSDGsに関心を持ち、知り、行動に移すことです。今このページを見ているあなたはその第一歩を踏み出したことになります。次のステップとしては上で紹介した取り組みにチャレンジしたり、SDGsのセミナーなどに参加してみましょう。学んだSDGsの知識を家族や友達に話すことも立派な取り組みです。SDGsが学べるゲームもありますので、家族でやってみるのもおすすめです。
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
小さなことでもひとりひとりが取り組めば、きっとこんな未来が実現可能になるはずです。
すべての人が貧困や飢えや病気から守られ、必要なことが満たされ、心豊かに人生を送ることができる世界
まとめ
いかがでしたか?漠然としていたSDGsがぐっと身近なものに感じられたのではないかと思います。
同時に、次世代を担う子どもたちに持続可能な地球や資源を残すためにも、避けることはできない重要な局面であることもお分かりいただけたのではないでしょうか。
SDGsはとても高い目標ですし、実現のためには国や企業などのリーダーが率先して行動していくことが必要不可欠ですが、私たち個人ができる取り組みもたくさんあります。
ひとりひとりの力は小さくても、世界中の人々が手を取りあって立ち向かいSDGsの目標を実現することができれば、子どもたちの未来はもっと明るいものへと変わっていくでしょう。
今日を境に、まずはSDGsについて家庭で話題にするところからはじめてみてはいかがでしょうか。
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編集者情報
株式会社デジタル・ナレッジ 教育流通事業部 事業部長 中田 康宏 | |
何かを学ぼうとして買った教材が、「なんか求めてたものと違った」なんてことありませんでしたか? これは、長きに渡りeラーニング市場で消費者を悩ませている解決すべき課題です。私たちは、これらの学びのミスマッチを少しでも減らすために、「学びのprestudy(予習)」となる情報を集めています。 何かを学ぼうという意欲がある人は、その学びで得たものによって多くの人の役に立とうとする尊い人たちです。私たちは、そんな学ぶ意欲を持つ尊い人達のために少しでもお役に立てればと思い、学びの予習となる記事を本メディアにて公開しています。 |