N-Academy Interview

「夏の蕎麦、蕎麦打ちの愉しみ方」

【講師】粕谷育功氏インタビュー

「夏の蕎麦、蕎麦打ちの愉しみ方」

食欲が落ちる暑い夏は、さっぱりした蕎麦が食べたくなる季節。
【江戸蕎麦手打處「あさだ」粕谷育功 蕎麦打ち講座 】講師であり、江戸時代から八代続く老舗蕎麦處の主人、粕谷育功氏に、夏蕎麦を愉しむコツをうかがいました。


 

—本格的な夏が到来しました。夏の蕎麦、蕎麦前であさださんで人気のものはなんですか?

粕谷: 蕎麦は「夏野菜天せいろ」や今が旬の「穴子天せいろ」、そして「夏野菜の冷やかけそば」などです。
「夏野菜の冷やかけそば」は、蒸し暑くなり、食欲が落ち気味な季節にピッタリの酸味のきいた冷たいかけそばです。茄子にフルーツトマト、おくら、じゅん菜、胡瓜に大葉に茗荷と夏の野菜がたっぷりのっかり、胡麻油の香りが食欲をそそります。蕎麦前では「水茄子の浅漬け」「穴子の塩焼き」「富山湾産の天然の岩ガキ」などです。
キーンと冷えた日本酒と召し上がっていただくと最高ですよ。

—夏に、自宅で自ら蕎麦を打って楽しむとしたら、どんな楽しみ方がありますか?

粕谷: かけそばのおつゆを冷蔵庫で冷やしておいて、「冷やかけそば」はいかがでしょう。
揚げた茄子やトマトのスライスなどの夏野菜もカツオだしによく合いますよ。

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—夏の蕎麦打ちで気をつけることはありますか?

粕谷: 暑い夏にこそ食べたい蕎麦ですが、作り手にとっては湿気や暑さで粉の劣化が進みやすい、悩ましい時期でもあります。なるべく挽きたての鮮度の良い粉を入手し、冷蔵庫で保管することをお勧めします。
また、湿度の高い時期でもありますので、加水量はやや少なめになります。水道水もなまぬるいですから、氷水を用意するとよいでしょう。また、茹でた後はしっかり冷水で締めると喉越しがよくなります。

—夏の行楽地で、「蕎麦打ち体験」が時々ありますが、お店の蕎麦打ちや、家庭での蕎麦打ちとは違うものですか?

粕谷: 基本は同じだと思います。ただ誰にでもつながりやすいように、つなぎの小麦粉が多いんではないでしょうか。 また、加水量はあらかじめほぼわかっているわけなので、その点はやりやすいでしょうし、指導して下さるスタッフの方も多いでしょうから、体験するにはいい機会だと思います。

—旅行のお土産で蕎麦粉を買ってきたり、もらったりということもあると思いますが、これを使った蕎麦打ちはどうなんでしょう?

粕谷:一般的なお土産屋さんで売っているものは、製粉してから時間が経っていたり、常温でずっと保管されていたりするので、実はあまり感心できません。 できれば、自家製粉されているお蕎麦屋さんで分けていただけると一番いいですね。
その際に、目安の加水量をお店の方に聞けると、失敗は少なくなると思います。

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—この季節、これから蕎麦打ち入門する方にメッセージを!

粕谷:暑い夏、冷たいお蕎麦が一番おいしく感じられる季節でもあります。少々つながりにくい季節ではありますが、つなぎの小麦粉を2割入れれば、十分美味しいお蕎麦が出来上がります。 この時期から始められた方にとっては、つながりやすい新蕎麦はとても簡単に感じられるはずです。そういった意味では今からスタートして、新蕎麦の時期(10月頃)にしっかり練習すると、 年末には自分で打った美味しいお蕎麦で年越しを迎えられるんじゃないでしょうか。
季節の移り変わりとともに、お蕎麦を楽しみながら、しっかり上達してください!

<講師プロフィール>


画像説明必ず入力 粕谷育功(かすや・やすのり)

江戸蕎麦手打處「あさだ」八代目主人。
1970年東京浅草橋に生まれる。蕎麦を打つ父の傍ら、木鉢の中で寝かされていたこともあるという。幼少の頃、両親・祖父母の働く姿を見て家業を継ぐことを決意。銀座「ろくさん亭」、虎ノ門「青柳」で日本料理を修業。 新橋「本陣房」での蕎麦屋修業を経て、30歳で家業を継ぐ。
蕎麦打ちはもちろん、毎朝の市場での仕入れからデザート作りまで手掛け、昔からの蕎麦屋の仕事を大切にしながらも、日々一から見直し再構築している。唎酒師、酒匠の資格を持ち、酒蔵巡りも楽しみの一つ。 海外の日本料理店での蕎麦打ち指導や、懐石料理教室・子ども向け蕎麦打ち体験会など蕎麦打ちの楽しさを伝えることもライフワークとしている。
座右の銘は、「我以外皆師也」「桃李不言下自成蹊」。


粕谷育功先生が主人の「あさだ」(東京・浅草橋)


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「江戸蕎麦手打處 あさだ」
江戸安政元年(1854年)に創業。初代・浅田甚右衛門が蕎麦屋を開いて150余年、江戸前の伝統技術と心意気を受け継ぎ続けて八代目となる伝統ある手打蕎麦店。つなぎを一切使わない自家製粉の十割蕎麦はもちろんのこと、 昔ながらの蕎麦屋の仕事に旬の食材を組み合わせた「蕎麦前」にも定評がある。蕎麦屋ならではの酒肴に四季折々の料理、唎酒師の店主が選んだ通垂涎の銘酒で蕎麦ファンの舌を楽しませている。
住所:東京都台東区浅草橋2-29-11 電話:03-3851-5412
営業時間:平日11:30~14:30、17:30~22:00
(ラストオーダー 21:00)
定休日:日祝


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