N-Academy Interview

スイーツデコ講座・アニマルデコ講座

【講師】鈴山キナコ氏インタビュー 

「鈴山キナコのスイーツデコ講座・アニマルデコ講座」講師インタビュー)

いま注目を集める粘土作家 鈴山キナコ先生。現在、「アニマルデコ」というジャンルを立ち上げ、本の出版や講習会など、精力的に活動していますが、 より沢山の方に楽しさをわかってもらいたいと「スイーツデコ・アニマルデコ」を教える認定講師の輩出にも力を入れています。 今回は、“認定講師”についてもいろいろとお話を伺いました。


執筆した書籍は累計17万部!スイーツデコ市場を創造したキナコ先生


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—スイーツデコを始めたきっかけについて教えてください。

鈴山キナコ先生: 「こんな本があったらいいのに」。これが、すべてのはじまりでした。粘土でお菓子を作る本が欲しい。 あったら絶対かわいいのに、なぜないんだろう?と、知り合いの編集者に会うたび、しつこく話していて、その編集者が企画として出版社の会議にかけたら、それが満場一致で通って「じゃあ、やりましょう」という流れになって。
もともとデザインの専門学校を出ていますので、絵も描けば、立体の造形も表現のいち手段として趣味でやっていました。でも粘土の本を出した当時は、小説を書くのが本業でしたから、 その一冊だけ出して気が済んだら、またすぐ物語の世界に戻るつもりでいました。



—その後もハイペースで刊行していますね。

キナコ: 2008年に出した最初の本「スイーツデコリーナ」初版6500部が、一週間で重版になって、あっという間に5刷になってからは、もう2~3か月おきに刊行していました。 今は14冊で、手芸本としてはこの数字でもいいほうなんですが、累計17万部のヒットになりました。

—講習会、出版、メディア出演など、多忙をきわめていらっしゃると思いますが、普段は粘土作家&講師として、どのようなライフスタイルなのでしょうか。

キナコ: いまだに「こんな本があったらいいのに」ばっかり毎日考えていて、その製作と打ち合わせと撮影のくりかえしです。 並行して、全国を講習会で飛び回っていまして、移動の車中はつねに本の原稿を書くか、睡眠時間にあてています。集中力を使う時間が多いので、 愛犬・らきたの散歩に出る毎日一時間だけは、ひたすらぼーっとしています。>

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「カワイイを作る」を副業にする方法


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認定講師のすあまりこさん。
こちらはスイーツデコ技能認定試験に
合格された時のもの。

—デコの技能を活かす方法としては、作ったデコを販売することができると思います。ネットのオークションサイトで「スイーツデコ ハンドメイド」などで検索してみると、 手作りのデコを販売している方が多いことにあらためて驚きました。こういう作品を買いたいというニーズは常にあるのでしょうか?

キナコ:カリスマブロガーを中心とした販売のイベントは、あいかわらず盛況です。2008年頃から始まったスイーツデコブームがすっかり定着した今、ニーズは 「作ることを楽しみたい」と、 「作品を買いたい」に、二分されたように思います。販売の場も増えてきて、オークションにとどまらず、ハンドメイド作品専門の販売サイトも、数多く立ち上がっています。


—キナコ先生の展示会などでも、Nアカ受講者が販売していると聞きました。
来場して買われる方は、手作りのデコに何を求めているのでしょう?


キナコ:工場のラインに乗った製品とちがい、手作業の作品には、ぬくもりがあります。それを作った人と、手にした人との「対話」の感覚が魅力なのではないでしょうか。
うちの認定講師の「すあまりこ」は、イベントのたび作品が完売する人気作家なんですが、彼女の作品を買ったお客さんが「ここも、ここも好き…」と、しみじみつぶやいているのを拝見していると、 ああ、このお客さんは今、会ったこともない鹿児島にいる彼女と、作品を通じておしゃべりしているんだ、そのおしゃべりはこれから、日常になるんだ。持ち帰った作品を見るたび、親友がそばにいるような、ハッピーな感覚になれる、お客さんはそこにお金を払ったんだ。そう感じました。

*販売はオリジナル作品に限り、講座で紹介したレシピ・意匠のままに制作した作品の販売は禁じられています。


—活躍の場として「講師」もあると思いますが、講習会は、どういった場所で、どのような方法で開催されるものなのですか?

キナコ:こうあらねば、というパターンはなくて、それぞれの先生の考えや紹介などで、方法は多岐に及びます。
私のすすめるやりかただと、まずは大型手芸店などで場所を借り、みじかい時間でひとつの作品を作る体験講習会を、定期的に展開するというやりかたが、デビューにふさわしいと思います。
売上の多くを場所代としてお店に取られますが、それを嫌がって自分でどこかのレンタルスペースを借りたとしても、お客さんは呼べません。

手芸好きのお客さんが集まるお店で宣伝してもらえることは大事で、お客さんはみなさん自分でも作るわけなので、当然見る目は厳しく、磨かれる場になると思います。そこでお客さんをつかんでから、場所を移したり、自宅開業などを考えるとよいでしょう。


—講師がキナコ先生でなくても、お客さんは集まるものなのですか?

キナコ:もちろん、講師にふさわしいファッションや、身だしなみも必要ですが、お客さんは作品に集まるものです。 実際に私のデザインした作品で、弟子がひとりで開催した体験講習会には、58人の参加者がありました。その作品での人数は、私を上回りました。


—主婦やお勤めをしながらでも可能なのでしょうか?

キナコ:スイーツデコ作家や講師のほとんどの方は、主婦かOLさんです。



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—1回の講習会で、どれくらいの利益があるのでしょうか。

キナコ:弟子に紹介しているお仕事は、メーカーさん主催の、日当という形の体験講習会で半日で手取り8千円、私個人ではコマーシャルの急ぎの製作の手伝いで三日間泊まり込みで5万円を支払ったこともありました。 あとは、私のデザインした講習用の作品で、体験講習会5時間で2万円を稼ぐ弟子もいますが、いつもコンスタントにその額が入ってくるという保証はどこにもありません。
ハンドメイドを副業にしてやろう、そのためにスイーツデコをはじめよう、そんな人に、ものづくりが好きなお客さんはついて来ません。「使ったお金が戻ってくる趣味」くらいに考えておくと、 時間とともに、発展してゆくのだと思います。お金のために考えるのでしたら、普通にアルバイトでもされたほうがストレスにならないと思います。

業界の変革の今だから、本気でバックアップします


—講習作品の提供は、どういう利点があるのでしょうか?
キナコ:講習作品をつくるのは、実はとてもむずかしいことなのです。人気の販売作品を生みだせる作家が、皆、講習作品も作れるとは限りません。
決まった時間内に、粘土が上手なお客さんも苦手なお客さんも、いっしょに楽しめて、時間内にひとつの盛り上がりがあって、お得感もあり、値段も満足、こちらも収益が上がる、 そんな作品を作れるようになるまで、私自身、多くの場数を踏み、失敗を重ね、損をして、寝る間も惜しんで悩み抜きましたので、そうやって完成した作品で最初からスタートを切ると、 最初から吸い寄せられるようにお客さんが集まってきますので、やっている本人のモチベーションが上がります。

今は、私が試行錯誤して身に付けたノウハウを、サポートの一環として弟子に伝えています。中でも最大の手助けは「人気講習作品のレシピの提供」です。たとえば、過去に私が行った体験講習会で、 人気のあった講習作品を、申し出があれば受講者に提供しています。
通常、発生する、弟子から先生への上納金も取っていません。

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講習会での1コマ。教えていらっしゃるのは、認定講師の甘栗まなみさん。
認定講師の資格をもらえると、このように講習会に
講師として参加することも可能です。

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オリジナルの粘土アクセサリーとロリータファッションで、 早くもファンをつかんだ認定講師の甘栗まなみさん。
「負けそうですね~」と、キナコ先生もうれしい悲鳴。


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こちらは、甘栗まなみさん作のアクセサリー。

—「作って販売する」「教える」について、それぞれ、どのようなスキル・テクニック・センスが求められるのでしょうか? また今後求められていくのでしょうか?

キナコ:販売作品の価値は、
1.個性があること。
2.アイデアの段階から、手間から、作品にかけられた時間を感じ取れる作品であること。
3.アクセサリーなどは、壊れにくく製作されていること。

今後求められる作家のスキルとしては、品格があること=著作権の勉強がなされていること。ハンドメイド市場は玉石混交で、権利侵害を犯している作品をよく見かけます。 特に30代以下の方は、違法動画やDLに罪悪感を感じない世代だからか、アイデア泥棒を平気でやる傾向があるようです。

講師としては、子供や初心者に教えられる人材が不足しています。周りを見渡しても、私ひとりしかいないように感じてしまいます。 今後は、やさしく作れて華のある講習作品を構成でき、それをわかりやすく楽しく教えられる講師が求められます。プラス、楽しそうな雰囲気を忘れずに。

あとは、心と体の、自己管理ができる人になってください。

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—以前、「手芸の世界は元々は財力のある先生方の趣味の世界であり、基本は各人の持ち出しでした。 つまり、職業としてはなかなか成立しにくい分野。その中で、今の時代にあった職業としてのデコ作家を育てていきたい」とおっしゃっていただきました。 あらためてお考えをお聞かせいただきたいのですが。

キナコ:私が職業として、と申し上げたのは、「稼げる作家に」という意味ではなくて。著作権の勉強も自己管理もそうですが、プロ意識を持ってものづくりに取り組むことで、 お金には替えられない自信が生まれるんです。

昔は、手芸といえば、材料費も高額で、完全にブルジョワのもの。財閥の奥様などが、社会との関わりを欲して、資金を投じながら自分の主宰の教室を開くといった流れがあり、それは現在も一部に少数派としてあるわけですが、 スイーツデコなどの新ジャンルは、普通の生活で、しっかり節約もしている人たちに支えられて育った庶民的な文化だと思います。

みんな時間があり余っているわけではないから、働きながら、子育てをしながら、時間を工面したり、現実との戦いがあったりしながら、スイーツデコをやっている。 ただ生きるためだけに生きてたまるかという、心意気もあると思います。
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こちらのお二人も、認定講師のあめの苺さんと
すあまりこさん。
講習会終了後の、晴れやかな笑顔です。

そういう圧倒的多数の現代クラフターに対して、手芸の業界の方たちは、まだ時代に追いついていないところがあって、今どきなんで? と、気絶しそうになるほどの、高額の委託料や、出展料をつのるところがあったりしますから、悪意と誤解されかねません。

粘土スイーツ作家の著作は、どの先生でも一万部以上は売れているんですよ。講習会にも、人が集まります。小規模、少数派ではなく、企業にも潤いを与えるジャンルなわけですから、 業界の方は、早めにアタマの切り替えを。

私は、このスイーツデコブームをきっかけに、みんながもっともっと、ハンドメイドに参入しやすい環境を整えたいんです。そのために、革命をどんどん起こしていきたいなと思っています。 ものづくりは、現実を乗り越える力になりますからね。

これからはアニマルデコにチャンス!?


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ミニチュアダックスフントは、アニマルデコになるとこのように。


—最近の活動を教えてください。

キナコ: 立ち上げたばかりの「アニマルデコ」という新ジャンルを開拓するため、粘土のメーカーさんと協同し、全国の手芸店、百貨店を廻って、 チワワやトイプードルなどを粘土で作る「体験講習会」を行っています。
主に犬を作るんですが、粘土の犬の本は今のところまったく市場にないので、またしても孤軍奮闘です(笑)

—今回、アニマルデコを始められましたが、このきっかけを教えてください。

キナコ: スイーツデコと同じで「どうして粘土で犬を作る本が、ないんだろう?」からはじまりました。
ないわけを推測してゆくうちに、犬種がパッと見てわかるように作られた作品や、イラストさえも世の中にそう多くは出ていないことに気がついて、大変そうだから、挑戦してみたいと思いました。
こちらは、そう考えてから本が出るまでに、何年もかかりましたが。

—アニマルデコの可能性はどのようなところにあると思われますか

キナコ: まだ開拓中のジャンルで、ほかに作家も出て来ていないので、副業になりうるかということでしたら、なんとも言えませんが、本はよく売れているし、全国から講習オファーがあいついでいますので、 まずは私が下地を作って、認定講師にバトンを渡していきたいと計画しています。
私のデザインを継承してくれる弟子が、ひとりでも多く育ってくれたら、うれしいです。
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こちらは、体験講習会に参加された方の作品。
それぞれ個性が出ています。

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アニマルデコの体験講習会の1コマ。
体験会には小さい子どもさんから60代の方まで、
参加される方の年齢層はとても幅広いんです。

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特徴1
—これから、粘土アーティストを目指す方にメッセージを!

キナコ: 時代はめまぐるしく変わってきていますが、昔から変わっていないものがひとつあります。
講師になること、作家になること。どちらも、作品を通じて、見知らぬ人とつながるときのよろこびが、 モノヅクリのハッピーな瞬間ではないかと思っています。私自身が感じてやまない、そんなハッピーを、いっしょに共有していきましょう!

<講師プロフィール>


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鈴山キナコ/粘土作家

1962年 福岡県北九州市八幡区生まれ。
専門学校を卒業後、漫画家・小林よしのり氏の永きにわたる作画アシスタント、マネージメント業を経たのち、 2008年、粘土で作るお菓子の本「スイーツデコリーナ」を刊行、 大ヒットとなり、一躍カリスマ的存在となる。以降、スイーツデコの牽引者として活動をス タート。アニメティックにデフォルメされた色彩豊かな「かわいいスイーツ」が中高生を中心に支持され、 TVや雑誌等に作品を数多く発表。大手菓子メーカー のCM等で「食べられるスイーツ」のデザインの仕事も多数こなしている。


【著作】「スイーツデコリーナ」(マガジンランド)、 「クレイスイーツ100レシピ」(マガジンランド)、 「鈴山キナコの粘土のミニチュア・カフェ」(マガジンランド)、 「粘土で作るイベントスイーツ100レシピ」(マガジンランド)、 「ホイップデコリーナ」(マガジンランド)、 「ホイップデコリーナpartⅡ」(マガジンランド)、 「粘土で作るとっておきスイーツ」(ブティック社)、 「かわいい、かんたん。チョコにデコ」(廣済堂あかつき出版)、 「お菓子な手芸・ねんどでつくるスイーツ」(汐文社)、 「カワイイ スイーツマスコット」(汐文社)、 「鈴山キナコ 粘土のアクセサリー」(日之出出版)、 「鈴山キナコのアニマルデコレーション 粘土で作る動物マスコット 」(ALPHA)、 「鈴山キナコのアニマルデコ 粘土で作る動物マスコット 2」(ALPHA)

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